高千穂地方に伝承されております神楽は、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸(あまのいわと)に隠れられた折に岩戸の前で天鈿女命(あまのうずめのみこと)が調子面白く舞ったのが始まりとされておりまして古来私共の祖先は、永い間、高千穂宮を中心に、この神楽を伝承して今日に及んでおります。昭和53年に国の重要無形民俗文化財の指定を受け、昭和55年にはヨーロッパで開催された国際伝統芸術祭に招待を受けるなど、全国各地で多くの公演を行っております。その伝承は遠く、神楽研究家の間では、平安末期から鎌倉時代にかけて成立したと言われております。高千穂の夜神楽は、毎年11月末から翌年2月にかけて町内各地区にて33番の夜神楽を夜を徹して奉納し、秋の実りに対する感謝と翌年の豊饒を祈願するものであります。当日はその中より「手力雄の舞(たぢからおのまい)」「鈿女の舞(うずめのまい)」「戸取の舞(ととりのまい)」の3番の舞を公開いたします。
(1)手力雄の舞 天照大神が天岩戸にお隠れになったので、力の強い手力雄命が天の岩戸を探し出すために静かに音を聞いたり、考えたりする様子を表現した舞です。
(2)鈿女の舞 天の岩戸の所在がはっきりしたので、岩戸の前で面白おかしく舞い、天照大神の岩屋より誘い出そうとする舞です。
(3)戸取の舞 天の岩屋も岩戸の戸も所在がはっきりしたので、手力雄命が岩戸を取り除いて天照大神を迎え出す舞で勇壮で力強く舞う舞です。